合同新聞朝刊にてコラム掲載しています【第5回】

大分合同新聞の朝刊にて、当院がとりあげられています。
全10回コラムで泌尿器の病気について解説していきます。ぜひ紙面でもご覧ください。

【第5回】出産経験者に多い骨盤臓器脱

(大分合同新聞 2023年3月27日 朝刊掲載)

女性で陰部にピンポン玉のようなものが触れる、何か挟まっている感じがするなどの症状があれば、骨盤臓器脱の可能性があります。
骨盤臓器脱は出産経験のある女性の約4割が発症するといわれ、出産経験の回数が多く、更年期を過ぎた方は注意が必要です。

骨盤の中には、骨盤臓器と呼ばれる膀胱や膣、子宮、直腸があります。骨盤臓器は、互いにバランスを取り、周囲の筋肉や靭帯(骨盤底筋)などに支えられています。骨盤臓器脱は、出産や加齢などが原因で骨盤底筋が緩み、骨盤臓器が膣に下がってくる病気です。

違和感だけでなく、尿が出にくい、尿が近い、便が出にくいといった排尿や排便の障害を来すこともあります。おなかに力が加わると、骨盤底にかかる負担が大きくなるため、重いものを持つ仕事をしている、便秘気味、肥満の方はなりやすいとされています。

治療は、骨盤の筋肉を鍛える骨盤底筋体操や、ペッサリーというリングを膣に入れて臓器が下がってこないように定期交換するほうほうがありますが、根本的な治療ではありません。このような治療で症状が改善しない、不快な状態が続く場合は手術となります。

近年は腹腔鏡を使って膀胱、膣、直腸周囲にメッシュをかけて、仙骨に固定する「腹腔鏡下仙骨膣固定術」が増えています。傷が小さく、再発も少ない最も根治性の高い治療といわれています。ただ、難易度が高く、限られた施設でしか実施されていません。

発症率の高い病気ですが、恥ずかしくて受診しない女性が多いのが現状です。年齢のせいと諦めずに、泌尿器科を受診してください。

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