合同新聞朝刊にてコラム掲載しています【第8回】

大分合同新聞の朝刊にて、当院がとりあげられています。
全10回コラムで泌尿器の病気について解説していきます。ぜひ紙面でもご覧ください。

【第8回】尿失禁、さまざまなタイプ

(大分合同新聞 2023年5月8日 朝刊掲載)

尿失禁には、せきや、くしゃみ、重たいものを持った瞬間など、おなかに力が入ったときに尿が漏れてしまう「腹圧性」や尿意を感じたらすぐにトイレに行かないと漏れてしまう「切迫性」、これらが混合した「混合性」があります。

腹圧性は、加齢や出産をきっかけに発症することが多く、骨盤底の筋肉が弱まり、尿意を支える筋肉や括約筋の力が低下することが原因とされています。加齢や肥満も要因の一つといわれています。

治療としては、骨盤底筋を鍛える体操があり、尿道の周りにあるが外尿道括約筋や骨盤底筋群を強くすることで、改善が期待されます。肥満や最近急に太った人は減量が有効なことがあります。治療は、尿道の下にメッシュテープを入れて尿道のを支える手術があります。
手術時間は約30分で、体への負担は少なく、長期成績も良好です。

一方、切迫性は突然強い尿意を感じてトイレに間に合わず漏れてしまう、力を入れていないのに漏れてしまうといった症状です。トイレに駆け込むことが多くなるため、外出時は特に困ります。そのような事態を回避しようと、早めに排尿することが習慣となって頻尿になることがあります。

原因として、膀胱に尿がたまると脳に伝えて排尿を促すという連携がうまくいかずに、膀胱が勝手に収縮して排尿してしまう「過活動膀胱」が多いです。この他、脳血管障害や男性の前立腺肥大、女性の骨盤臓器脱などが原因になっていることもあります。

治療は、水分摂取のタイミングのコントロール、骨盤底筋体操、尿意があっても少しがまんする膀胱訓練などの行動療法や薬物治療があります。
その他には、内視鏡で膀胱の筋肉にA型ボツリヌス毒素を直接注射する「ボツリヌス毒素の膀胱壁内注入療法」があります。手術時間は5~10分程度で、1回の投与で4~8カ月効果が持続するとされています。
日本では2020年から保険適用されていて、効果が弱くなったら追加の治療ができます。この治療は認定医資格が必要で、治療可能な医療機関は限られています。

尿失禁は生活の質の大きく損なう病気ですが、恥ずかしくて受診しない方が多いのが現状です。年齢のせいと諦めずに泌尿器科を受診してください。

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